『海図なき船出』

今、私自身が気になっていることを書いて、贈る言葉としたい。

 既成概念や社会通念が音を立てて、崩れ去っている。

 戦後、欧米先進国の行動様式を行動規範としながら、経済優先主義の国づくりが行なわれてきた。欧米先進国を海図として、それを模倣しながら進んできたのである。社会構造も経済的豊かさを実現するための仕組みに仕立て上げられてきた。経済効率実現のための数多い規制が、官僚主導型の社会をつくり、政・官・産・労の協調構造をうみだした。貧しい時代には良い選択であった。そのことは否定されるべきではない。  しかし、日本が世界経済の15%を占めるようになり、もはや欧米の国々が、海図となり得ない時代になったとき、日本は目標を失ってしまい、「求めるべき国のかたち」が見えなくなってしまった。今までの仕組みの綻びが露呈し始めているのが、現在の状況である。

 いまこそ、日本人は価値観のパラダイムチェンジを行なわなければならない。今までの民主主義は、本当の民主主義ではないことを自覚しなければならない。敗戦という形で与えられた為の民主主義である。「泣く子と地頭には勝てない」の体質を引きずり、自らは思考することなく、行動してきた。

 民主主義とは、自立した市民によって構成される社会である。日本人の何人が「民主主義」を正面からとらえて、考えているであろうか。  「国のかたち」を決めるのは、われわれ日本人ひとりひとりの責務である。

 難しいことを書いてきてしまいました。ゴメンナサイ。君たちに期待しているのです。君たちは「海図」のない世界に入っていくのです。

 これからの「日本のすがた」・「海図」を決めていくのは、君たちであることを忘れないでほしい。今までは、学生という気楽な立場でしたから、関係ないと済ますことができました。今日からは、あらゆることに関心をもち、思考し、行動してほしいと思います。自分の人生と生活にだけ関心のある狭い人間ではなく、自分の住む地域社会、日本に思いをはせることのできる人間、「自立した市民」になってください。

 今、日本は「海図」のない暗い国ですが、21世紀、世界の範となれる国になる努力を共にしたいと思います。最後に、1つの言葉を贈ります。